モンゴル証券取引所(MSE)の主要20銘柄「MSE TOP-20」を対象に、各社の財務健全性と収益性を定点観測する財務分析シリーズ。
今回は、モンゴルのノンバンク・金融セクターにおいて常に業界トップクラスのシェアを誇り、高いガバナンス力で投資家からの信頼が厚い損害保険大手「Mandal Insurance(MNDL / マンダル保険)」を取り上げます。直近5年間の業績推移と、最新の重要経営指標(KPI)をビジュアルデータとともに解説します。
📈 過去5年間の売上推移(2021年〜2025年)
マンダル保険の主たる売上高にあたる「正味収入(Gross Written Premium / 運用収益含む総合収益ベース)」の過去5年間の推移です。モンゴル国内の経済成長と、中間層・法人向け保険商品の普及を背景に、極めて美しい右肩上がりのトレンドを維持しています。
| 年度 | 総合売上高(MNT / モンゴルトゥグルグ) | 前年比(YoY) |
|---|---|---|
| 2021年 | 329.5億 MNT | — |
| 2022年 | 367.3億 MNT | +11.4% |
| 2023年 | 402.2億 MNT | +9.5% |
| 2024年 | 438.7億 MNT | +9.0% |
| 2025年(最新) | 473.1億 MNT | +7.8% |
📌 データ解説:
2020年代前半のコロナ禍やインフレ局面を乗り越え、毎年安定して約8〜11%のペースでトップライン(売上)を拡大しています。これはモンゴルの実質GDP成長率を上回るペースであり、同国の保険市場そのものが拡大している恩恵をダイレクトに享受している証拠です。
📊 最新年度(2025年)重要KPI分析
投資家が最も注視すべき、最新の収益性・効率性指標です。
| 指標(KPI) | 2025年最新実績(MNT / %) | 投資家目線のチェックポイント |
|---|---|---|
| 純利益 (Net Income) | 114.3億 MNT | 損害率のコントロールが安定しており、過去最高益水準をキープ。 |
| ROE (自己資本利益率) | 18.29% | モンゴルの商業銀行セクター(20%超)に迫る、非銀行系金融として極めて高い資本効率。 |
| EPS (1株当たり利益) | 18.27 MNT | 1株当たりの稼ぐ力も着実に増加傾向。配当原資としての安心感があります。 |
🧠 投資目線・財務総括(Summary)
- 損害率と再保険政策の妙(高い収益性)
Mandal Insuranceの強みは、ただ保険を売るだけでなく「再保険(リスク分散)」の使い方が非常に上手い点にあります。自社で抱えるリスクを国際市場に適切に逃がすことで、大型の支払い請求が発生した年でも利益が大きく毀損しないタフな財務構造を作っています。 - 潤沢な運用益による二階建ての収益構造
集めた保険料を、モンゴル国債やMSEの上位安定株、信託預金などで「堅実に運用」しており、この投資運用益が本業の保険ビジネスに上乗せされるため、高いROE(18.29%)を叩き出す原動力となっています。 - 持続可能な成長とバリュエーション
売上の伸び(トップライン)と利益の伸び(ボトムライン)が完全に比例しており、ガバナンスの透明性も含めて「MSE TOP-20の中で最もポートフォリオに入れやすい安定株」の一つと言えます。
